色眼鏡が歪めた景色
黒いサングラスをかけた旅の人はアフリカを
訪れた感想を聴かれてこう答えた…
「確かに自然は豊かだったけど、
特に綺麗なんてもんじゃなかったね、
なんだか町全体が黒ずんでて
モヤがかかったみたいさ…」
青いレンズの眼鏡をかけた紳士は仕事で訪れた
エジプトの印象を聴かれてこう答えた…
「エジプトは一面の白い砂丘をイメージして
いたけどなんてことない、ピラミッドすら
地中海のように青かったんだ、
信じられるかい…」
薄い黄色がかったレンズがトレードマークの
女性は環境問題の視察に訪れた北京の印象を
聴かれてこう答えた…
「黄砂は本当にひどいわ、
全てが黄色く見えるの、ホテルのレストランで
食べた北京ダックですら黄色かったわ…」
話しを聞いている最中も彼らは色眼鏡を
かけたままだった。
否、寧ろ自らがかけている色眼鏡の存在すら
認識してないようで、
色づいたその景色を眺めてはその景色に
ついて語っているのだ。
しかし、私達も彼らのように普段から
色眼鏡をかけて世間を眺めてはいない
だろうか…。
それはなにも実際に色眼鏡をかけている
というのではない。
自らのエゴによって他人の意見や考え、
対象物などを捉えた時の自らの意見は
色眼鏡をかけて景色を見ているようなもので
ある。
【エゴ = 自我。元々の性格。
生まれ育った周囲の環境や情報によって
育まれた記憶からなる無意識的な反応をする
心の状態】
その時、あるがままの本当の景色は
「その人なりの価値観」という色眼鏡越しに
眺められてしまう。
それゆえに誤った解釈を伴い、
巷に溢れるNEWSへのコメントや
個人的な意見は、そのもの自体の本質から
遠く離れ、歪められたまま伝えられるので
ある。
透明な眼鏡をかけて
しかし、ここでは決して "自分の意見を持つな"
と言いたいのではなく、色眼鏡を外し、
透明なままに眺めてみてはどうか、
と提案したいのである。
今日見た物事の印象は、いつか心象として
必ずや現れてくることだろう。
蓄積されたそれらの印象という材料から、
自らのエゴというデータが、
何気なく日々更新され創造されているのだ。
それならばいっそのこと、必要以上の印象を
取り込まない方が賢明である。
しかしそれらの印象を得ようとする欲求は
その都度起こる。
その欲求とは、過去の経験からなる
脳内データを参考にして、
目の前の状況に応じて脳が抜粋した的確な
メニュー表示である。
よって、それを選ばないという選択は
よほど意識的でない限り至極困難な作業と
なってしまうのだ。
色眼鏡を外したのちに見える世界
ではどうすれば自分のかけている色眼鏡を
外して物事を見ることができるのか。
本当の景色とは一体どういうものであるの
だろうか。
普段から思考習慣に身を任せ、
そうすることになんの疑いも持たず、
思考習慣を手放せるという可能性すら
知らなかったのなら、まずは意識する矢印を
自分の心に向けてみることだ。
自分の心が何を考えているのかと観察すると、
認識した瞬間に思考は止まる。
そしてその自分の心に向けた視点を保ったまま
対象物を観察する。
そのとき色眼鏡は外されている。
無心、無思考の状態になるのは初め簡単では
ないが、一度コツを掴むと居心地の良さを
感じるので、そちらの方に移行し
始めようとする。
しかし、エゴの方も死んでたまるかと抵抗を
みせるし、それまでの習慣は根強いので、
忍耐強く行わなければならない。
(エゴの死とは、無心•無思考の状態であり、
意識の光に晒されていることにより、
育まれた後天的なエゴの死となる)
自らの無心•無思考の状態を認識しつつ、
周囲の物事を見る事が出来たのならば、
色眼鏡は外れている状態であるからして、
その時エゴの増長はない。
それはエゴからの解放だ!
後は対象物に触れた瞬間に起こった自らの
感覚的 (五感) 精神的反応 (六感、思考) を
客観的に観察すればそれでいいのである。
ひとえに思考は五感の刺激による反応である。
脳はその都度感じた刺激に応じて
過去のデータを持ち出して、
「こんな時はこう考えるんでしたよね?」
とメニューを差し出してくるのである。
脳はとても優秀な執事であり、給仕係である。
ご主人であるアナタの好みをよく分かって
いて、いつでも使い慣れ親しんだメニューを
提示してくるのだ。
もはやそれは無意識の内になされていて、
アナタも喜んでその思考のきっかけを手に
取ってそこから連想ゲームを延々と繰り返す。
日々新たな情報を手にしたとこで、
それは油絵のように次から次へと上から
塗り重ねられているようなものだから、
その世界観たるや美しいどころか騒がしいと
すら思える。
色眼鏡を外したのちに見える世界は、
ただただ感じるだけの静けさに包まれた、
そのもの本来のあるがままの姿
を見せてくれる。
思考が無ければ過去もなく未来もない。
全き今に存在しているその瞬間こそが、
本来あるべき姿の透明な
あなた自身なのである…🙏
⬇︎求道作家のこだわりオーガニックど田舎生活毎夜更新中…⬇︎
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