​​求道者は黙して嘘をつく​…

「真理は "今ここ" 無心にあり!」無心から世間を眺める一風変わった賢者の視点をARTな写真と共に洞察していきます。

「自分に嘘をついてやしないだろうか」

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それまでの価値観

 

私は自分に嘘をついてやしないだろうか。

​​私は自分を誤魔化してやしないだろうか。

 


​​65歳の定年まであくせく働いてきたが、

​​私はその間何か本質的な間違いを犯して

いたの​​ではないだろうか。
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​​

​​私はこれまで生活の糧を得る為に仕事を

​​してきた。

 

 

​​家族を養い、自宅のローンを払い、

​​税金を納めて一社会人として働いてきた。
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​​その間ずっとお金さえあれば物質的に

​​何不自由なく暮らせると思い、

一生懸命​​働いてきたが、それは言い変えれば

​​安心・安定・安全を

求めていたからでは​​ないだろうか。
​​

​​

​​ならばお金があれば働かなかったのだろ​​うか…

きっと働かないだろう。

 

 

​​お金を稼ぐ事は動物界における

狩りと同義​​であるだろうから、

腹が満たされていれば​​餌を獲りに行く必要が

ない。
​​

​​

​​お金があれば幸せだと思っていた。

​​自由とは物質的な満足だとそう思っていた。
​​

​​

 

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自分の事が分からない

 

​​さて老後を迎えた私は果たして

幸せになったのだろうか。

 

 

​​確かにお金の心配はなくなり、

生活的には "​​安心・安定・安全" を手に入れたが

​​相変わらず頭を悩ませる物事は

周囲に沢山​​溢れている。
​​

​​

​​医者に気をつけるよう言われているから、

​​以前のように好きな物は食べれなくなったし​​

お酒も控えるようにした。

 

 

​​際立った趣味があるわけでもないから

​​人付き合いは極端に減った。

 

 

​​YouTubeも映画も特に好きと言うわけで

​​はない。
​​

​​

​​妻の何気ない一言に苛立ち、

連絡を寄越さ​​ない子供達、

孫の顔を見るのは年に一度か​​二度だけだ。

 

 

​​たまに外に出てみれば

我が物顔の運転手に​​腹が立ち、

年配者を敬う事を知らない若造​​の態度には

カチンとくる。
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​​働く事が好きではあったが

天職と思った事​​は一度もなかった。

 

​​そんな疑問を持った事すらなかった。
​​

​​

​​仕事をする必要がなくなった今、

私は一体​​何をすればいいのか、

何をしたいのだろうか​​、

何をすれば楽しめるのだろうか、

何を​​やればいいのだろうか…

それが分からない。
​​

​​

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自分を振り返る

 

​​働いていた頃は、

休日に何もしないでゆっくり​​出来る時間が

あんなに贅沢に思えたのに、

​​今となっては苦痛でしかない。
​​

​​

​​よし、それならば

何が自分にとっての幸せ​​なのか

じっくり考えてみようではないか…。
​​

​​

​​分からないことを追求して考えることは

​​昔から得意だった。

 

 

​​仕事ではトラブルを未然に防ぐような

​​立ち回りであったから、

問題を深掘りして​​いくのには慣れている。
​​

​​

​​まず、これまで幸せに感じた体験を

書き出し​​てみた。

 

 

 

休日の朝、子供の寝顔、晩酌の時間、

​​家族旅行で行った

伊豆大島の海は本当に​​綺麗だった。

 

​​同期の中で一番に昇進した時は

思わず会社​​から妻に電話してしまった…。
​​

​​

​​思いつく限り書き出してみると、

​​顔が綻んでいる事に気がついた。

…​​この事も書いておこう。
​​

​​

 

​​次に不幸に感じた時の事を書き出してみた。

 

 

​​子供が入院した事、親友が癌で他界した事、

​​奮発して買った下ろしたての靴が

満員電車で​​思いっきり踏まれた事、

部下に反抗された事​​、子供の反抗期、

妻がご飯を炊き忘れた事、

社員食堂のランチに髪の毛が入っていた事も

あった…。
​​

​​

​​そしてやっぱりそう書いていると

顔が険しく​​なっている事に気がついたので、

その事も書き足し​​ておいた。
​​

 

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無心とは…

​​

​​それから図書館に行って幸せについて

書かれ​​ている本を片っ端から読んだ。

 

 

​​適当に選んだつもりだったが、

どれも​​似た様な内容だった。
​​

 

感謝する、笑顔でいる、

ポジティブに考える、​​目標を見つける、

過去を振り返ってみる、​​面白いと感じる

ものをとにかく探す、何も求めない…
​​

​​

 

​​しかしその中でも気になったのが

禅の​​考え方で、そこには極論として

「無心」を​​唱えていた。
​​

​​

​​無心…? 無心てなんだ?
​​

​​

​​悟りを開いた人は無心なのだという。

​​悟りに向かう道中も無心なのだという。

​​宗教の言う悟りについてはよく分からない​​が、

達磨大師っていう偉い人が

言ってるくらいだから、

幸せ​​であることは間違いないだろう。
​​

​​

​​無心がとにかく気になって考えてみるが、

​​いやしかし待てよ、考えれば考える程

​​無心から離れていくのではないか。

 

 

​​無心は考えた末に辿り着けるとこなのか。

​​いやむしろ逆に考える事をやめなければ

​​無心になれないではないか。
​​

 

​​そうは思えど無心になる事は出来ず、

​​ぐるぐると迷路のような

思考の中を彷徨って​​いると、

なんだか頭が痛くなってきた。

 

 

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自分を誤魔化してやしないだろうか

 

​​本の山もそのままに、

図書館の屋上に​​上がって行って

長椅子のベンチの上に​​仰向けに寝転んだ。

 

 

​​自然と大きく息を吐き、

何度か深呼吸を​​繰り返す。

 

 

​​目も開けられない程の強い日差しは、

今が​​梅雨である事を忘れさせた。
​​

 

​​しばらくそのままボーっとしていると、

​​寝てはいないんだが、

ふと何も考えていない事​​に気がついた。

 

 

​​その静寂に包まれた気持ちは

どこか​​懐かしいような、

それでいて当たり前の​​ような印象を持って

いた。
​​

​​

​​するとふと「あっ、これが無心か…」

と​​思った瞬間、急に振出しに戻った気が​​した。
​​

​​

​​そしてふと、

​​私は自分に嘘をついてやしないだろうか。

​​私は自分を誤魔化してやしないだろうか。

​​とそう思った。
​​

 

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​​

​​そしてその事について考えれば考える程、

​​言葉の羅列は縦横無尽に頭の中を彷徨って、

​​結局は昔から辛い時に言い聞かせてきた

馴染みの答えに落ち着いた。

 

 

​​「一生懸命働いていれば

それでいいじゃ​​ないか」…。
​​

​​

​​しかし今となっては

その仕事がない事に​​気がついて動揺して

しまった。

 

​​私は何をすればいいんだ…?
​​

​​

​​そしてまた気がついた、

そうか…それを探しに図書館に​​来たんだ。
​​

​​

​​そしてまた気がついた、

そうか…探し疲れてここまで​​来たんだ。

 

 

​​そしてまた気がついた、

あっ、また考えてる…。

 

 

私はこれまでに

自分を根本的に疑った事は一度もなかった。

 

 

そりゃ仕事のやり方や "考え方を変えろ"

と上司に言われた事はあるが、

自分自身の価値観を疑った事は

一度もなかった。

 

 

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いつもの場所へ…

 

山積みの本を片付けて図書館を後にした。

 

沢山借りるつもりだったから

大きめのリュックサックを背負ってきたが、

肩にはカバンの重みしか感じない。

 

 

結局禅の本を一冊だけ借りたのだ。

 

 

私を背後から写した長い影が

自宅の方に向かって伸びていた。

 

 

まるで自分の姿が巨人になったようで、

面白くなり手をあげたりした。

 

 

そう言えば子供の頃もこんな事をして

遊んだ事を思い出す。

 

 

歩く道すがら無心について考えてみるが、

いつも同じところに行き着く。

「考えている時点で無心じゃないのか…」

 

 

それでも唯一無心のような雰囲気になれる

言葉は見つかった。

 

 

余計なことを考えてしまう度、

何度も何度もその問いに考えを巡らせた。

 

 

​​私は自分に嘘をついてやしないだろうか。

​​私は自分を誤魔化してやしないだろうか。

 

 

そう考えると、なんだか根底から揺さぶられ

ているような騒ついた気持ちになり、

決して心地良いとは言えないが、

虚空を彷徨っているような

静かな視界に目が開かれた。

 

 

鍵を忘れて出てきたようで、

玄関のチャイムを押すと家内が訝しげに

扉を開けた。

 

 

「あら、なんだかスッキリしてるじゃない」

 

 

その言葉を聞くと、

出口のないように思えた虚空の中に一筋の光が

灯ったようで、急に心が軽くなった…✍️
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