​​求道者は黙して嘘をつく​…

「真理は "今ここ" 無心にあり!」無心から世間を眺める一風変わった賢者の視点をARTな写真と共に洞察していきます。

「王子様を探していただけなのに…」

 

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平凡な選択

 

私は四年生大学を卒業して新卒で入社した。

この会社での仕事が特に好きと言うわけでも

なく、特に嫌いと言うわけでもない。

業界では中堅に位置する建設会社で事務を

している。

 

 

サラリーマンの父に影響を受けたのか、

比較的真面目な学生生活と

TVドラマを見過ぎた影響なのかは分から

ないが、なんの疑問も持たずに就職すること

になった。

 

 

大学では一応「経済学」なんていう堅苦しい

所に籍をおいた。

 

そのきっかけは、高校二年生の夏休みに

一人で行った田舎のおばあちゃん家に、

娯楽が何もないことに気づいたからだ。

 

Wi-FiはもちろんTSUTAYAなんてあろう筈がなく

TVのチャンネルも3つしかなかったから

海を眺めている時間が多くなり、

 

「そう言えば来年には大学受験か…ところで

私は一体この先何をしたいのかしら?」

と考えた末の結論であった。

 

 

きっとこの先は

大学➡︎就職➡︎結婚➡︎育児➡︎老後、

そうとしか考えられなかったのはやっぱり

トレンディドラマの影響かもしれない。

 

 

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経済学はしっかり者の母の血か…

背が高いのは父の血だろう。

 

サラリーマンの家庭は妻が財布を握らなければ

きっと家庭内経済は破綻するだろう。

 

身分不相応の父のゴルフ趣味は、

練習用のクラブが二本と、

週末のゴルフ中継と、月に一冊のゴルフ雑誌に

抑えられている。

 

そんな父は老後はゴルフ三昧に明け暮れる

のだという。

 

趣味があるのは良いことだ。

 

 

賢明な性格

 

高校の頃まではお盆の度に一緒にお墓参りに

行ったが、大学に進むと行かなくなった。

行かなくなったのは私だけで、

両親はちゃんと毎年行ってるようだ。

 

 

宗教とは無縁の家庭なのかと思っていたが、

そう言えばお墓参りは仏教の信仰か…。

 

 

一人娘の私が嫁いだら一体お墓は誰がみる

のか。

 

 

 

経済学部で恋愛論を学んだつもりはないが、

結婚相手の選定にも私は打算的な所がある

ようだ。

 

これまでにありきたりな恋愛、

ありきたりな失恋、

青春と呼ぶに相応しい程度の経験はしてきた

つもりである。

 

 

結婚すればその先40〜50年も一緒に暮らす

パートナーに最低限必要な条件を考えた時、

見た目と家柄、経済力は真っ先に除外された。

 

 

モテる男は浮気をするとトレンディドラマでは

相場が決まっているし、特別贅沢な暮らしを

したいとは別に思わなかった。

 

 

昼ドラを見たことはあまりないが、

金持ちの姑さんは意地が悪そうだ。

 

 

 

優しくて誠実でユーモアのある人ならばきっと

幸せに暮らせるだろう。

 

 

老後はどうせ2人きりになるのだし、歳を取って

から家庭内で人間関係に悩みたくはない。

 

老後に楽しみをとっておくのも、やっぱり父に

似ているのだろうか。

 

 

結婚は早い方がいいだろう。

育児も若い内に越したことはない。

自然にいつか現れる王子様を夢見て

トレンディドラマを見てきたわけじゃない。

 

 

私は容姿端麗と言うわけではないけれど、

"中の下" くらいはあるだろう。

 

 

流行には流されやすい性格であるから

ファッションもそこそこイケてるはずだ。

 

 

最もシェアの多いカテゴリーに属している

タイプの人間だとそう思う。

ライバルも多いだろうが、その分分母も

多いはずである。

 

 

特に難しくなさそうな事務の仕事を選んだ

のも、仕事に気を取られるよりも男性陣

を俯瞰していたいからである。

 

 

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王子様を求めて

 

"良き男性とは" "良き恋人とは" "良き夫とは"

 

大学と同時にトレンディドラマを卒業して

そんな類いの本やYouTubeばかり見るように

なった。

 

それは自己啓発と呼ばれるような分野の

物であり、それまで全く興味がなかっただけに

やけに新鮮に映った。

 

乾いた大地に水が染み込んでいくように

私はそれらの知識をどんどん吸収していった。

 

 

それによるとどうやら

"似た者同士が惹きつけ合う" らしい。

 

 

確かに言われてみればそのとおりで、

学校でも会社でもSNS上でも

いつも輪を作るのは似た者同士だった。

 

 

会社では女性同士で話すことはよくある

けれど、男性社員とゆっくり話す機会は

殆どない。

 

 

仕事で話すことは多少はあるが、

飲み会のような場でもない限り

プライベートな話は殆どしない。

 

 

だから誰が自分と似ているのかと見定めるのは

中々難しいのである。

 

 

しかしまだ見ぬ王子様と惹きつけ合うべく、

"良き夫なる人と添い遂げたいならば

自分を高めるしかない" と考えるのも自然な

成り行きで、早速 "ヨガと瞑想" を始めた。

 

 

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自らを知る

 

初めはとっつきやすいヨガに取り組んだのだが

色々と調べていく内に、

"ヨガは瞑想の為の柔軟体操"

という考えに行き当たり、

「なるほど、だったら瞑想もするべきか」

と思い、瞑想を始めたのだ。

 

 

ヨガを始めてみると、

「うぅ…私ってこんなに

身体固かったかしら…」

と我が身を知り、瞑想を始めてみると、

「うぅ…私ってこんなにうるさかった

かしら…」

と途方に暮れるのであった。

 

 

"瞑想中には何も考えないようにする"、

"思考が起こってきても取り合わない" 

と、そうすることがまるで簡単なように

書いてあるが、言うほど単純な話ではなく、

「これは本当に静かになるのかしら?」

と疑ってみてはまた考えているという次第で

あった。

 

 

それでも

「王子様もきっと同じ苦労をしてるんだわ」

とそう思うとやる気が出てくるから

不思議なものである。

 

 

自己啓発本によると、

成功者となる人は意識が高いのだという。

 

 

"改善する意識的な力が他の人よりも優れている

から状況をより良くする事が出来る" 

のだという。

 

 

「へぇ〜、改善がはかどるのは意識のお陰

なのかぁ…」

 

 

「ならばその意識的な力を自らの心に用いれば

良い人になれるのではないか。

私の王子様はきっとそんな人ではないか!」

 

 

そう思うと明確にターゲットが絞られた

気がして嬉しくなった。

 

 

"うーん、でも意識ってなんだろう…。"

 

 

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いつもとは違う景色

 

瞑想の時は部屋の明かりを暗くして

行なっている。

その方が集中しやすいというのだ。

 

 

高級マンションとは言えないが、

築浅の小綺麗な部屋の照明は

つまみをひねると明かりの調整が出来る。

 

 

瞑想が終わって照明のつまみを右にひねると

"部屋の中にある物がよく見えた" 

ふとその事が奇妙に思えて

今度はつまみを左に回した…。

 

 

すると "さっきまで見えていたはずの物が

全然見えなくなった"

 

 

「なるほど、

物が見えるのは光のお陰なのか…」

と当たり前のことに妙に納得した。

 

 

 

会社には大体いつもの時間に着き、

いつもの席に座り、

大体いつも通りに皆と挨拶を交わし、

いつもの時間にいつもの友達とランチを食べ、

いつもの時間に終業合図のベルが鳴る。

 

そしてそのまま残業になる。

 

 

でも私は今日はいつもと違う行動に出た。

 

 

終業時間間近になって一度トイレに立ち、

トイレから戻ると自分の席には戻らずに

そこそこ広いオフィスの入り口付近に立って

いた。

 

 

終業のベルが鳴ってもみんな大体そのまま

残業に入るから、この時間になると疲れて

ピリピリしてるのだ。

 

 

そして私は入り口の扉の横にある照明の

スイッチにをかけると全てのスイッチを

OFFにした。

 

 

オフィスは暗くなり、PCの明かりがボンヤリと

皆んなの顔を浮かび上がらせ、

すぐにオフィスは騒つきだして、

私は数秒後にスイッチを入れた。

 

 

「すいませ〜ん、手が当たっちゃってぇ〜」

 

 

とヘコヘコしながらデスクに向かって

歩いて行くと、苛立ちの様な皮肉のような

ため息混じりの雑音が、

そこかしこから聞こえてきた。

 

 

私はデスクを通過して部長の元へ行って

一言謝罪した。

 

 

 

なんとなく思いつくままに遠回りして自分の

デスクに戻る途中、挨拶程度で話したことも

ない同期の男性社員が、

「どんまい」と優しく微笑んでくれた。

 

 

普段特に気にしたこともなかった彼の一言に

ハッとして「あ、ありがとう」と作り笑いで

応じた。

 

 

オフィスは明るくなったはずなのに彼の顔は

他の景色よりも明るく見えた。

 

 

普段通ることのないその通路にある彼の

デスクは整然とされていて、一冊の本が目に

入った。「座禅の呼吸法」

 

 

終業のベルはまだ鳴らなかったが、

その時私の中にハッキリと

音とは違う何かが響いた。

 

 

それはいつものうるさい私の心が創り出す

言葉のイメージとは違う、まるでトレンディ

ドラマの主人公になった様な気分であった…✍️

 

 

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