​​求道者は黙して嘘をつく​…

「真理は "今ここ" 無心にあり!」無心から世間を眺める一風変わった賢者の視点をARTな写真と共に洞察していきます。

「亀戸テーラー」…3話

 

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スポットライト

 

勢いよく音も無く静かに扉が閉まった瞬間、

室内は急にパッと明るくなり、

私はまるでスポットライトに照らされたかの

ようになった。

 

 

それは目も開けられないくらいの眩しさで、

光に慣れるまで数秒を要した。

 

 

薄っすらと目を開けると、

そこは一面真っ白な空間であった。

 

 

あんなに細い路地裏の片隅にあるような店が、

こんなにまで広い空間を持っていることなど

あるのだろうか。

 

 

そしてその疑問は毎回来るたびに想起され、

毎回ここを出るたびに忘れてしまうので

あった。

 

 

目深に被るシルクハット

 

私の正面には一体のマネキンが立っていて、

その姿は口髭をたくわえた初老の男性のようで

口元にほんのりと笑みを浮かべ、

目深に被ったシルクハットは鼻の上まで

来ていて目を隠していた。

 

 

彼の目が見えていたならば

きっと私の足下しか見えていないことだろう。

 

 

それにしてもこのマネキンは一体誰が置いたの

だろうか…。

 

店の人は一体どこにいるのだろうか…。

 

ここへは何度も来ているはずなのに

どうしても覚えていることが出来ない。

 

 

考えれば考えるほど分からないことばかりで、

「一体ここはなんの目的で…」、

そう思った瞬間、

「それが目的さ…」、

とどこからともなく声が聴こえ、

「疑問に思うことが目的ってこと?」

と口に出して問い返すと、

「ほら又始まった…でもせめて声には出さない

方がいい…」、

「…なんで?」、

「問題が複雑になる…」、

「どういうこと?」、

「ほら又始まった…」、

 

 

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期待は裏切られる

 

無意識のうちに両腕を目の前にかかげて

光を遮っていたが、

眩しい光にも目が慣れてきて両腕を下ろした。

 

 

ワインレッドの色をした絨毯、

真っ白かと思っていた壁は

ほんのりクリーム色をしている様だ…

いや、そう見えるだけか…。

 

 

"そうみえるだけか…" 

と思うと、

「いつだってそうでしょう…」、

と声がして、

「…えっ?」と問い返したが返答はなかった。

 

 

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周囲を見渡していた視線を目の前の

マネキンに移すと、その瞬間に 

"ピンッ" と閃いた。

 

 

何を閃いたのかと言われればハッキリと

"何" と言える訳ではないのだが、

とにかく "わかった" 

という確かな手応えだけは感じたのだ。

 

 

いつもの様に "声にならない何か" がその事に

ついて何か言うのかと思い、束の間期待して

いた…。

 

 

しかし何も言われなかった。

 

 

身構えていた頭の中のネジを緩めると、

「期待は裏切られるからな…」、

とハッキリと前の方から声が聴こえた。

 

 

さっきまで無機質だったマネキンは気がつくと

人のような雰囲気を漂わせていた。

 

 

そう気づいた瞬間に

マネキンは突然喋り始めた…✍️

 

 

…続く

 

 

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