​​求道者は黙して嘘をつく​…

「真理は "今ここ" 無心にあり!」無心から世間を眺める一風変わった賢者の視点をARTな写真と共に洞察していきます。

「inori-ya」…12話*あわや大惨事

 

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順調な滑り出し

 

自転車での旅は、テントを持って基本的に野宿

であった。

当初野宿する事に対する不安はなかったが、

体調を崩した経験から、無理はしないように

しようと思っていた。

 

 

青森での生活で健康的な食生活が身について

いたから、何より食生活が乱れないように

注意しようと思った。

 

 

そこで思いついたのが、糠床を持って行く事で

あった。

当時の日本ではまだまだ有機野菜がメジャー

ではなかったから、有機野菜を手に入れるのは

難しいかもしれないが、糠床さえあれば何とか

なるだろう。

 

 

スーパーでも良い塩は売っていたし、

当時はお米屋さんがまだ沢山あったから、

玄米付きの良いお米を手に入れるのにそれ程

苦労はしなかった。

 

 

自転時に乗っている時と寝る時のテントには

目立つように、

日本全国自転車一周 神社祈願中 (株)祈り屋

というのぼりをつけておいたから、

興味を持ってくれた人から話しかけられる事が

多かった。

 

 

その度に会社のチラシを渡して事業内容を

説明した。

いつの間にか話題になった事もあり、

雑誌の取材や新聞、報道番組のニュースに

取り上げられた事もあった。

 

 

しかし、人生はそんなにトントン拍子には

いかないものだ。

​​話題になったのは一時的な事に過ぎ

なかったし、​​何より、「祈って欲しい」

という人は現れなかった。
​​

 

​​むしろ「祈り屋」という胡散臭さに否定的な

人もいたりして、私の目指すwinwinの関係を

結びたい人にはまだ出会えずにいた…。
​​ 

 

 

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大雨の中の出来事

 

春先に出発した自転車の旅も半年が経ち、

予定よりも早いペースで関西まで来ていた。

季節は秋頃に差し掛かり、雨の多い日が

続いていた。

雨に打たれる中で自転車を漕ぐこと、

雨の日のテント泊の大変さを日々痛感して

いた。

 

 

 

そんなある日の事、朝からシトシトと

降り続いていた雨は、昼頃になり急に激しく

なってきた。

 

 

国道沿いを走っていた私は、非難する場所も

見つからないまま視界の悪い中を仕方なく

走っていた。

 

 

すると後方から来た大型トラックが水溜りを

避けようとして左に寄せてきて、私の自転車の

荷台を引っ掛けてしまったのだ。

 

 

私は自転車もろとも派手に転び、

車道に投げ出されてしまった。

 

丁度車の流れは止まっていたので、

すぐさま私は起き上がり、自転車の横たわる

側道へと這うようにして避難した。

 

あわれ糠床の入っていたタッパーは

飛び散り、車道に落ちた昨日漬けたばかりの

人参は、妙に色鮮やかに横たわっていた。

 

 

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事故に気づいたトラックの運転手さんは、

50〜60m程先で車を側道に停め、

慌てた様子で走って私の元へとやって

来た。

 

 

さっきよりは多少弱まった雨の中、

心配そうに私を労ってくれる中年の男性は、

私が大怪我をしてないと分かると、

「とりあえず救急車が来るまでトラックの中に

いましょう」と言ってトラックに乗せて

くれた。

 

 

視界の悪い大雨の中での事故は、

あわや大惨事であった。

 

 

バクバクと鳴っている心臓の音に気がついた

のは、トラックに乗ってしばらくのことで

あった。

 

 

救急車を待つ間に冷静さを取り戻すと同時に、

身体のあちこちが痛くなってきた。

 

心配そうに私を気にかける運転手さんは、

すぐ様私の異変に気づき、「横になっていた

方がいいですよ」と言って、運転席と助手席の

後ろにある1畳半程の寝床に寝かせてくれた。

 

 

大きなトラックに乗ったのは初めてだったが、

車内がこんなにも広いとは思わなかった。

生活感もあり、窮屈なテント泊よりもよっぽど

快適に過ごせる事に呑気に感心すらしていた。

 

 

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横になると緊張の糸が切れたのか、

久しぶりの室内の快適さが心地良かったのかは

分からないが、いつの間にか寝てしまった

ようだ。

 

 

目が覚めると、救急隊員の方の白いヘルメット

をかぶった顔が、私の目の奥の様子をしっかり

と見つめている光景が目に入り、

夢の世界から現実に引き戻された気がした。

 

 

その時は雨続きで体力も落ちていただろうし、

身体の痛みと事故のショックもあって、

この時ばかりは

"これで神社参拝も終わりかなぁ…"

と不安に考えていたが、

「悪い事の後には良い事が起こる」

という座右の銘を実感するには、

それ程時間はかからなかった…✍️

 

 

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求道作家のこだわりオーガニックど田舎生活…毎夜更新中
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