​​求道者は黙して嘘をつく​…

「真理は "今ここ" 無心にあり!」無心から世間を眺める一風変わった賢視点をARTな写真と共に洞察していきます。

「禅の逸話」…その7. 香嚴の木登り その1

 

 

 

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聡明なる香嚴

 

今回の主役は中国唐代末期(西暦900年頃)に活躍した

香嚴(きょうげん)禅師であります。

 

​​"大禅者 百丈慧海 (ひゃくじょえかい) 禅師"

に師事していた香嚴禅師は、

​​百丈禅師遷化後(せんげ。高僧の他界)、

その高弟の為山霊祐 (いざんれいゆう) 禅師​​に

師事しました。

 

 

幼い頃より聡明な香嚴は、

"一を聞けば十を知る"

と言われるほどの秀才でありました。

 

 

しかし、こと禅問答におきましては

秀才であればあるほどその道は険しく、

禅風はなおいっそう厳しく吹き付けるので

あります。

 

 

そんな香嚴禅師は為山禅師の下で、

ある公案 (禅問答) を与えられ、

そのプライドをズダズダにされることと

なります。

 

 

ここに有名な公案である、

「父母未生以前の本来の面目とはいかに」

が登場します。

 

 

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この公案はつまり、

「お主が両親から生まれる前の面目とは何か、

未だ母親の胎内にいた頃のその心境を

言うてみろ」

と言うものであります。

 

 

単純に考えればその頃の記憶などないでしょう。

とは言えこれは禅問答。

ここに来て百戦錬磨の師を前に、

知的な解釈を滔々と語ってみたところで

生半可な言い分が通用するはずもありません。

 

 

香嚴禅師は元が賢いだけに

あれこれ考えに考え抜きますが、

常識の範疇で答えが出るほど

禅問答は易しくありません。

 

 

禅問答による師とのやりとりは基本的に毎日2回、

時には一日復数回も対峙することになります。

 

 

香嚴はこの一問に苦心すること数年あまり、

遂に己の無知を悟って降参してしまいました。

 

 

そしてある日、

「師よ、私にはどうにも分かりません。

是非答えを教えては頂けませんでしょうか…」

と答えを請います。

 

 

しかし為山禅師は譲らず、

 

「儂の答えは儂のものであり、お主のものではない。

それを聞けばこの場で一応の満足はするかもしれないが、

後で必ず後悔することになるぞ」

 

 

そう言われると香嚴禅師は弱音を吐いた自らに失望し、

本当に諦めて為山道場を後にしてしまいました。

 

 

のちはその昔に慕った高僧の墓石のある武当山へ行って、

墓守として日々を過ごすことにしました。

 

 

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草庵を編んで数年が経ったある日のこと、

香嚴禅師はいつもの様に庭の箒がけをしていました。

 

 

すると竹箒の先に一粒の小石が当たり、

"カーンッ" という音がしました。

 

その音は今まで聞いたものとは違って、

まるで頭の中で鳴り響いているかのような新鮮な響きでした。

 

そして香嚴はその瞬間に大悟徹底 した、つまり悟りを開いたと言うのであります。

 

 

これが香嚴撃竹と言われる逸話です。

 

 

大悟した香嚴は百丈禅師に師事してから十数年あまりが経っていました。

その時の香嚴の喜びたるや、いてもたってもいられずに、

思わず為山道場に向かって手を合わせたと言います。

 

 

あの時為山禅師は、

こうして自分自身で体験することでしか、

我がものとする事は出来ないのだ、

​​ということを教えてくださったのだと、

改めて悟ったのであります。

 

 

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香嚴の木登り

 

さて、前置きが長くなってしまいましたが、

大悟したのちの香嚴はある日、門下のとある檀家さんに

公案を与えました。

 

 

身も縮むような高さの崖の上にある一本の松の木があります。

あなたは僧侶で、その木に手を使わず口でぶら下がっています。

両手は枝も掴まずに、足の下は断崖絶壁。

絶体絶命の境地です。

 

 

そんな時、ある人がやって来てこう尋ねます…

 

 

「達磨さんがインドからやって来た真意とは何か…」

 

 

言葉にして答えればもちろん崖の下へ落ちます。

しかし仏法を伝える僧侶として応じなければ失礼に当たります。

 

 

まさにこのような時にどう答えるか…。

 

 

 

さて賢明なるあなたなら、どう答えるでしょうか。

 

​​ 
​​今日の所は前置きとして、明日の続きまで、

​​室内 (参禅の間。ここで毎日1日2回の短い時間

禅問答が行われる) へ行くのを待つ雲水の

ような気持ちで、一念考えてみて下さい…🙏

 

 

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